自粛要請がなされ、めっきり外に出ることが少なくなったという人も多いと思います。
歩くことが減ったという人も多いのではないでしょうか

ふだんの生活の中で何気なく行っている「歩く」という行為。
実は、歩くことには様々な効果があることが分かっています。

脳機能を改善したり、腸の動きを活発にしたり。
意識的に歩くことで、よりその効果を発揮することができます。

歩くことで発想が豊かになる

歩くことは心身の健康によいだけでなく、発想が豊かになるとされています。
実際、アップルのスティーブ・ジョブズは歩きながらミーティングをしていたそうです。
さらには、この歩きながらのミーティングは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグやツイッターの創業者ジャック・ドーシーなど経営者らも実践しているそうです。

スタンフォード大学のダニエル・シュワルツ博士とマリリ・オペッゾ博士は、歩くことでよりクリエイティブな発想が刺激され、考えもまとまるとしています。

シュワルツ博士らが行った実験です。
被験者に3つの異なるものを与えて、その新しい使い道を考えてもらいました。
ほかの被験者が発案していない限り、その考えは新しいものとみなしました。
しかし、たとえばタイヤを指輪とするなどといった無理な発想は除きます。

すると、座っている人よりも、歩いている人の方が、それがたとえランニングマシンなどでその場を歩いているだけであっても、目新しく適切なアイデアが浮かんだそうです
なんと座っている人の発想力を60%上回ったそうです。

さらに、ひとつの言葉をきっかけに、ほかの表現を連想していくという実験も行いました。すると、歩いている人は100%の確率で高いレベルの表現を生み出せたのに対し、座っている人たちは50%にとどまりました。

つまり、たとえ建物の中であったとしても歩く人のほうが、壁に向かって座っているよりもはるかに発想が豊かで、創造する力がアップしていたということです。

 歩くことで身体が健康になるー歩行速度と死亡率の関係ー

仕事という面だけでなく、歩くという行為は体の健康という面においても重要になってきます。
実際、歩く速度が死亡率と関係しているという報告があります。
Mihaela Tanasescu博士らが行った研究です。
男性の医療従事者の中で糖尿病にかかっている2803人(30歳以上、歩行に不自由のない人)を対象に行っています。

彼らをゆっくり歩く人(時速3.2km未満)、普通(時速3.2~4.7km)、速く歩く人(時速4.8~6.3km)、すごく速く歩く人(時速6.4km以上)に分けました。
そして、なんと14年もの長い間、2年毎に健康で過ごしているかどうか追跡調査を行いました。

この14年間の追跡期間中にお亡くなりになった方は355人。
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓を栄養する血管が一時的もしくは永久に詰まって、心臓の一部が働かなくなる病気)にかかった方が266人いました。

そこで、歩く速度がお亡くなりになったり、虚血性心疾患にかかることと関係があるかどうか、因果関係を調べました。
すると、驚くことに、歩く速度が速い人ほど、死亡率が低く、虚血性心疾患にもなりにくかったそうです。

ゆっくり歩く人の死亡率を「1」とすると、普通「0.59」、速く歩く「0.62」、すごく速く歩く「0.42」

虚血性疾患にかかる率になるともっと違いは顕著になってきます。
ゆっくり歩く人の虚血性心疾患にかかる率を「1」とすると、普通「0.82」、速く歩く「0.58」、すごく速く歩く「0.17」

ここまで結果に差が出るなんて驚きです。
すごく速く歩いている人なんて、ゆっくり歩いている人と比べると、死亡率半分以下、虚血性心疾患になる率なんて2割以下。
歩く速度が速いってことは、ふだんから運動している確率も高いからかもしれませんが。

歩き方で気分が変わる

歩くことは体の健康にだけではなく、心の健康にも関係しているようです。
実際、歩き方によって気分が変わるということが分かっています。

フロリダのアトランティック大学のSara Snodgrassが1986年に報告したものです。

79人の学生に3分間歩いてもらいました。
1つのグループは、大股で腕を大きく振り、顔をしっかりあげて歩いてもらいます。
もう一方のグループには、下を向いて小さな歩幅で歩いてもらいました。

そして、一時的な感情や気分を測定するProfile of Mood States (POMS)を使って、気分の変化を調べました。

すると、大股で歩いたグループの方がより活力がみなぎっており、抑うつ気分や疲れを感じにくかったのです。
大股で大きく腕を振り、顔をしっかりあげて歩いたほうが幸せな気分になれるということです。
たった3分なのに…。

まとめ

歩くことの効果についてまとめてみました。
なかなか外出がはばかられる状況で、歩く機会は減っているかもしれませんが、
だからこそ歩くときには、意識的に歩くようにして、その効能を享受できるように心がけるといいかもしれません。

参考
Stanford study finds walking improves creativity. Stanford Report, April 24, 2014
Physical Activity in Relation to Cardiovascular Disease and Total Mortality Among Men With Type 2 Diabetes
2型糖尿病男性の「歩く速さ」と総死亡率が相関
科学が証明したすぐ幸せになれる16の方法
The Effects of Walking Behavior on Mood [microform] / Sara E. Snodgrass and Others.