私たちは、見ているもの全てを認識しているわけではありません。
何かに注意が向いていたときに、他に注意が向かなくなるというのはよくあることです。

特によく起こってくるのが、変化の見落としです。
これは、変化盲とも呼ばれています。

どれくらい変化に気づかないのか

人が、いかに変化しているものに気づかないのかということを示す衝撃の実験があります。1998年にShimonsとLevinが行ったものです。

実験者が通りすがりの人に道を尋ねます。
実験者と被験者が話をしていると、ドアを運んでいる作業員たちが二人の中を割って入り、通り過ぎます。このときに会話をしていた実験者がドアの裏に隠れて、別の人と入れ替わります

全く別の人物に変わったにもかかわらず、気づいたのは15人中たったの7人だったそうです。
体型が変わったり、人種が変わったり、ときには性別までかわっているにもかかわらず、半数の人は気づきもしなかったのです。

自分が選んだものにさえ気づかない

これに関しては、さらに驚くような実験があります。
実験者が男性に2枚の女性の写真を見せます。
そして、魅力的だなと思うほうを選んでもらい、その写真を被験者に渡します。
ところが、この実験者は実はマジシャンで、渡すときに本当は選んでいない女性の写真をを渡します。
そして、「どうしてこちらの女性を選んだんですか?」と聞きます。
すると、「微笑みがいいから」とか「イヤリングが気に入ったよ」とか答えるそうです。
本当は選んでもいないのに。

これくらい変化に気づかないようにできているのです。
して、いったん自分が選んだ(と思い込んでいる)ものに関しては、特に疑わずに、その選んだ理由を探し出してしまいます。

まとめ

私たちは、自分の日々のわずかな変化に気づくことはほとんどありません。
久しぶりに会った人たちから指摘されて初めて、自分の変化に気づくということもよくある話です。
だからこそ、柔軟に変化に対応して、適応していけるのかもしれません。

しかし、自分の目標や状態を意識していないと、自分でも気づかないうちに周りに流されて変わっていってしまったり、自分の小さな成果に気づかずがっかりしたりすることになってしまうということになりかねません。

ときどき自分の状態を客観的にみるように意識してみるのが良いのかもしれません。

参考)
脳の取扱説明書 p253
『錯覚の科学』 クリストファー=チャプリス ダニエル=シモンズ著、成毛真 解説、木村博江 訳 文芸春秋 2014
Johansson P. Failure to detect mismatches between intention and outcome in a simple decision task. Science 310(5745) Oct 7 116-119, 2005