記憶の定着には、睡眠が大切であることが分かっています。
しかし、睡眠をとらなくても外からの刺激を遮断し、休息をとることでも同じような効果があるようです。
2004年チューリッヒ大学のGottselig博士が行った実験です。
被験者にある連続した音の並びを覚えてもらいます。
その後、以下の3つのグループに分けます。
1) 睡眠をとる
2) 覚醒している状態で、暗く静かな部屋で横になって休む。
3) 映像を見る
そして、数時間後に音列をどの程度正確に覚えているのかということをテストしました。
かなり難しい試験だったにもかかわらず、思い出す前に十分な睡眠を取った人は軒並み高得点をはじき出しました。
さらに驚くことに、暗く静かなところで休んでいた人たちも睡眠をとった人たちと同様に良い成績だったそうです。
つまり、学習を促進させるためには、外からのいろいろな情報から離れ、ゆっくりとリラックスすることが、大切だということです。
では、どうしてリラックスすることで記憶できるようになるのでしょうか。
それは、リラックスしているときに出現する脳波(シータ波)が関係しているようです。
シータ波は、学習や記憶を形成し、脳の同期を促すとされています。
神経の活動と、記憶が形成される脳の領域での電気信号を記録したところ、シータ波と同期しているときに学習すると認識が強くなることが分かったそうです。
そう考えると、静かな環境で心静かな状態を作るということはとても効果的なように思います。
そして、不眠の方も、眠れないと思い悩むよりも、できるだけ何も考えないようにして、暗く静かなところで横になるだけでも、記憶に関して同様の効果が期待できるということです。
情報過多の時代です。
多くの情報に触れた後には、意識して、情報から離れ、リラックスする時間を持ってみませんか?
意外と仕事の効率があがるかもしれません。
参考)
Gottselig JM, et. al. Sleep and rest facilitate auditory learning. Neuroscience, 127 (3), P557-61, 2004