なにか新しいことを身につけようと思ったら継続することが重要です。

32万部を売り上げたベストセラーに『3週間続けば一生が変わる』(ロビン・シャーマ著)という本がありましたが、実際には習慣化するには3週間以上かかることが多いともいわれています。

続けるのが大切とわかっていても、今までにないことを続けて行うというのは難しいかもしれません。
さらにいえば、脳の働きからいうと無理やり続けるというのも考えものです。

では、どのようにしたら無理なく続けることができるのでしょうか。

なぜ無理をしてはいけないのか

ストレスは脳にとっては大敵です。
なので、続けることがストレスになるようでは、脳を鍛えるという意味では本末転倒になってしまいます。
続けることが自分にとって負担が大きいのであれば、毒と薬を一緒に飲んでいるようなものです。

そのため、ストレスを抱えながら長時間行うよりは、短い時間であっても無理なく楽しんで行うほうが効果的です。
つまり、自分がストレスなく、楽しんで続けられるバランスを見極めることも大切になってきます。

何をストレスに感じるのかには個人差があります。
自分の気持ちを大切に行うようにしましょう。

私はわりと継続することが得意です。
そこで、私なりに感じている継続のためのコツをも含めて続けるために大切な5つのポイントについてまとめてみました。

自分の興味がある分野について行うこと

なにかを続けようと思ったら、それに興味を持って好きになることが近道です。

このことを利用してなのか、最近では子どもたちの興味を引くような教材もいろいろあります。
さすがに私も興味のない分野のことを無理矢理やろうとしても続きません。
なので、「Facebook pageに毎日記事をアップする」ということはできても、「毎日5分運動する」ということになると私にとってはとてもハードルの高いものになります。

まずは、自分がやろうと思っていることに興味を持つことです。
たとえば、どうすれば興味をもって楽しくできるのか探ってもよいと思いますし、それができるようになった時の自分の姿を思い浮かべるというのも1つでしょう。

最初から完ぺきを求めない

そもそも何のためにそれをやろうと思ったのでしょうか?

何かが上達するためということであれば、最初はできなくて当然です。
練習しなくても完璧にできるのであれば、継続してする必要なんてないわけですから。

私も最初に書いた文章は、今よりもわかりにくいものだったと思います。
Facebook pageを書き始めた当初は、文章を書く練習、知識の整理と情報収集も兼ねて、書いたものをFBにアップするということを目的としていました。
なので、最初の段階では、誤字脱字や誤植、言い回しなどを事細かにチェックするというよりは、まずは書くことを最優先にしていました。
記事がたまってきた段階で、少しずつ文章を修正したりしました。
それから3年後には出版までしたわけですから、最初はできなくてもとりあえず続けるということがいかに重要かということがわかります。

いきなり大きすぎる目標を立てない

最初からいきなり大きな目標だと始めるのが難しくなるだけでなく、挫折しやすくなります。
あまり労力をかけ過ぎると挫折のもとです。
自分にとって無理のない範囲で行うことが大切です。
1ヶ月続けることで習慣化するとされています。
ちょっとしたことでもいいので、続けることが大切です。

スモールステップで目標達成

サルと人間を一緒にするのもどうかとは思いますが、おもしろい実験があります。
アメリカ国立精神保健研究所のリッチモンド博士と設楽宗孝博士が共同で行ったものです。

サルの目の前にモニターを置きます。
赤色のサインが表示されたらレバーを押し、サインが緑色に変化したらレバーを離すということをミスなくこなせたら、ご褒美のジュースがもらえます。
これくらいの単純作業だと成功率は97%を超えるそうです。

しかし、ご褒美のジュースを4回連続で成功したときに与えると、成功率は格段に下がってしまうそうです。
なんと初回での成功率は75%にまで落ちてしまうのです。
そして、2回目で80%、3回目で93%、ジュースがもらえる最後のステップでは通常通りの97%の成功率に戻ったのです。

つまり、報酬にたどり着くまでのステップ数が多くなると仕事のエラー率が高くなるということです。
この報酬は、もちろんジュースである必要はありません。
人間の場合、何かを達成した、人に評価されたなどでも、十分代わりになります。

そのため、よくいわれているように、目的までのスモールステップを設定して、達成感を得るというのが大切になってくるわけです。

実際、ストックホルム大学の研究チームが先延ばし癖があると自ら考えている150人ほどに対して行った実験でも、そのことが証明されています。

長期的な目標設定をより具体的で小さい目標設定に分けることや、小さい目標を達成したときに1杯のコーヒーや休憩などの報酬を与えることで、先延ばしが改善したのです。
自分で管理するよりも、セラピストが補助として付くとより効果があったそうですよ。

大きな目標もまずは小さな一歩から。
焦らず着実にやっていくのがよいのかもしれません。

即効性を期待しない

ほとんどの場合、結果に結びつくには時間がかかります。
結果を期待しすぎると、それが得られない時にがっかりして、挫折してしまいます。
すぐには結果が出なくても当然と思って気長にやりましょう。

さらには、小さな変化に気づいてあげるということも重要です。
残念ながら私たちは日々の小さな変化には気づきにくいものです。
変化盲という名前までついています。

しかし、たいていは小さな変化が積み重なった結果が大きな変化につながります。
そのためには、現状を定期的に確認するといったことが重要です。

仲間を作る

同じ目標に向かう仲間がいることはモチベーションの維持にとっては重要です。
1人で行うより、一緒に同じことをしている仲間や応援してくれる人がいると継続しやすくなります。

できれば、仲間と目標などを話し合うとさらに効果的です。

私たちの言葉には、力があります。
公表効果といって、自分がすることを宣言することでより実現しやすくなるのです。

私もただ黙々とPCに向かって書くだけだったら、毎日記事をアップし続けることは難しかったでしょう。
FBにあげることで、皆さんからの反応があるからこそ続けることができたのだと思います。

まとめ

継続のコツについてまとめてみました。
習慣化するにはだいたい1カ月といわれていますが、そのくらいの期間続けることで、脳にも変化が起きてくるということが分かっています。
なにかを習得したいと思ったら参考にしてみてください。

【参考】
脳の取扱説明書 p250~
Munetaka Shidara et. al. Neural signals in the monkey ventral striatum related to progress through a predictable series of trials. The Journal of Neuroscinece 18(7) Apr 1 2613-2625, 1998
http://jp.wsj.com/articles/SB10327460236075474355904581208264088929164
Rozental, A. et. al. Internet-based cognitive—behavior therapy for procrastination: A randomized controlled trial. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 83(4), 808-824, 2005