「コロナ疲れ」という言葉が聞かれますが、慣れない環境はストレスが多いものです。

そういう時には、音楽を聴くとよいかもしれません。

音楽には、人を癒す効果があります。

最近では、音楽が自律神経系、免疫系、ホルモン系に影響を与えるということが分かってきています。
具体的にはどのような変化が起きるのでしょうか。

音楽の効果についてまとめてみました。

音楽によって違う、身体にもたらされる変化

音楽は私たちの感情に影響を与えます。
誰にでも音楽を聴いて感動した経験があると思います。

これは、音の処理を行う脳の部位である聴覚野が、感情に関連する扁桃体にも情報を伝えるために起こってきます。

おもしろいことにどういう感情に影響を与える音楽を聴くかによって、心拍数・呼吸数などの生体反応に与える影響も変わってくるという報告があります。

悲しい曲は、心拍数、血圧、皮膚伝導に大きな変化を引き起こします。
ちなみに、選ばれた曲はバーバーの『弦楽のためのアダージョ』。
http://www.youtube.com/watch?v=KylMqxLzNGo

楽しい曲は、呼吸数に最大の変化を引き起こします。
こちらに選ばれた曲はビバルディの『四季』春。
http://www.youtube.com/watch?v=aFHPRi0ZeXE

恐ろしい曲は、一番目立って血流速度の変化を引き起こします。
ちらに選ばれた曲はムソルグスキーの『禿げ山の一夜』。
http://www.youtube.com/watch?v=v_Oa3f-WFps

これは、経験によってもたらされたものなのでしょうか?

どうも、これは生来持って生まれたもののようです。
というのも、生まれたばかりの赤ちゃんのときから、音楽によって身体的な反応が起こることが分かっています。

新生児のときから音楽の影響を受けている

生後4か月の赤ちゃんでもすでに音楽が心拍数や呼吸など身体に影響を与えるということがわかっています。

ただ、音楽の効能はこれだけではないようです。
新生児集中治療室(NICU)の未熟児に対しても効果があったことが報告されています。

ニューヨークで行われた実験です。11施設のNICUにいる32週以上の未熟児272名に対して行っています。
音楽によって、心臓や呼吸の機能に影響を与え、授乳行動が改善し、覚醒している時間が伸びたというのです。

もちろん、熟達した音楽療法家によって適正な音楽を選ぶ必要はあります。

悲しい音楽が孤独を癒してくれる

意外なことに、悲しい音楽には孤独感とさよならできるという効果があるそうです。
ドイツのベルリン自由大学のLiila Taruffi博士とStephan Koelsch博士が世界各地に住んでいる772人(女性495人、男性277人)を対象にオンラインで行った調査です。

悲しい音楽を聴く頻度やどういう時に悲しい音楽を聴くのか、悲しい音楽がどれくらい重要かといった音楽の趣向、聞く時の気分による悲しい音楽が好きな度合、悲しい音楽にどのような効果があるのかを分析しました。

すると、悲しい音楽によって、気持ちが慰められて安心したり、ネガティブな感情・気持ちが和らいだりする効果があったそうです。
なんでも、音楽を聴くだけで自分の気持ちを代弁してくれている気持ちになったり、共感されている気持ちになるらしいのです。
そのせいか、嫌なことがあった時や孤独を感じている時に悲しい曲を選びやすいそうです。

まとめ

最近は、ネットもテレビもコロナの話題で持ちきりですが、心が疲れてしまう前に、
そのような情報から離れ、静かに音楽を聴く時間を持つようにするとよいかもしれません。

参考)

The effects of music therapy on vital signs, feeding, and sleep in premature infants.
The Paradox of Music-Evoked Sadness: An Online Survey
THE POSITIVE EMOTIONAL IMPACT OF SAD MUSIC