4月7日に新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が出されました。
これから先が不透明な状況が続く中、不安ばかりが大きくなっているかもしれません。
この状況下で、私たちにできることはあるのでしょうか。
今こそ、一人一人が自分自身と向き合い、不安に対処することが大切です。
それによって、それぞれが客観的で冷静な行動をとることが、この時代を乗り切るポイントになるかもしれません。

不安とは

そもそも不安とは何でしょうか。

不安とは、心配に思ったり、恐怖を感じたりすることです。
または、または恐怖とも期待ともつかない、何か漠然として気味の悪い心的状態や、よくないことが起こるのではないかという感覚(予期不安)のことをいいます。(参考:Wikipedia)

この定義を見てもそうですが、不安というと、なんとなくよくない感情、邪魔な感情と捉えがちですが、そもそも全く必要がなかったら、標準装備のように備わってはいません。

もともと不安は、危険を避けるために備わった生き物本来の能力だと考えられています。

コップにある半分の水をどう捉えるのか

不安を感じやすいかどうかの例としてよく挙げられるのが、コップに残った半分の水をどう捉えるのかというものがあります。

「もう半分しかない」と捉えるのか
「まだ半分もある」と捉えるのか

これは、不安を感じやすいタイプなのか、楽観的なタイプなのかを知る一つの目安になります。

これは、どちらがよいとか悪いとかいう問題ではなく、どちらにもメリットデメリットがあって、そのバランスが大切になってきます。

不安を感じやすいことにもメリットはある

不安を感じやすい人というのは、当然、将来の不安に備えて、より準備をしておこうとする傾向があります。

そのため、災害とか不測の事態にも強いわけです。

また、将来の不安に備えようとモチベーションを高く維持することができて、放っておいても自分で努力したり、工夫したりできます。
そのためか、
不安を感じやすい人の方が学業成績が良いという報告もあります。

普通に考えてみても、楽観的だと、そこから成長したり、工夫したりしようとする意欲がわきにくく、モチベーションが上がりにくいだろうということは想像に難くないと思います。

日本人は不安を感じやすい

日本人は不安を感じやすいといわれています。

というのも、不安を感じやすいかどうかは、ある程度、生まれたときに決まってきてしまうのです。
この決定打になっているのが、不安遺伝子です。

セロトニンが不安のカギを握る

では、この不安遺伝子とはどのようなものなのでしょうか。

私たちの脳は電気信号によって情報のやり取りをしています。
この情報のやり取りに重要な働きをしているのが、神経伝達物質と呼ばれるものです。

この神経伝達物質の一つにセロトニンがあります。
セロトニンは、精神の安定にとって大切な物質です。

具体的にいうとセロトニントランスポーターがセロトニンの再取り込みに関係しています。
そして、その数が人によって違うのです。
それを決めているのが、先ほどの遺伝子です。

セロトニントランスポーターをたくさん作るように命令する遺伝子Lと少なくつくるように命令する遺伝子Sがあり、その組み合わせ(LL型、LS型、SS型)で数が決まってきます。

日本人は、65パーセントもの人がSS型、つまりセロトニントランスポーターの数が少ない人というわけです。
ちなみに、アメリカ人はSS型は18パーセントだそうです。

そして、最も楽観的になるLL型ですが、日本人ではわずか3パーセント。
ちなみに、アメリカ人は33パーセントもいるそうです。

つまり、日本人は慎重にコツコツと行動できる反面、不安を抱えやすい人が多いということです。
さらに、不安というのは近くにいる人に伝わりやすい傾向があります。
そのため、身近な人が不安を抱えていると自分まで不安になってくるのです。

要するに、先行き不透明なこの状況下では自分でも気づかないうちに不安に飲み込まれるということが起きる可能性があるということです。

不安への対処法

では、私たちはどうしたらよいのでしょうか。

自分自身がどのような状態なのかをありのままみつめ、自分自身を整えるということが大切になってきます。

セロトニンを増やす

セロトニンを増やすためには、日中の過ごし方が大切になってきます。

まずは、身体を動かすこと、リズム運動にはセロトニンを増やす働きがあります。
15分くらいウォーキングをするのが効果的です。

他に、食事のときによく噛んで食べるというのもリズム運動の一つです。
味わいながらゆっくりと食事の時間をとってみるのもいいかもしれません。

規則正しい生活をし、日光を浴びることもセロトニンを増やすのに効果的です。

逆に、コンピューターを長時間使ったり、テレビやゲームなどをして夜更しするという生活は、セロトニン不測の原因になってきます。

睡眠を十分にとる

睡眠不足になると不安や抑うつが起きやすくなるといわれています。

これは、睡眠不足によって脳の扁桃体(へんとうたい)という場所が過剰に活性化するためです。

眠る1時間前の電子機器の使用は避け、眠る環境を整えるようにしましょう。

深呼吸する

不安な状態になると身体も緊張しがちです。

リラックスしようと思っても、なかなか難しいかもしれません。
そのときに有効なのがゆっくりと深い呼吸をすることです。

それによって、副交感神経が優位になり、リラックスした状態になりやすくなります。

まとめ

不安について、そのメカニズムと対処法についてまとめてみました。

普通に過ごしていても不安が膨らみがちな状況ではありますが、自分を見つめ、整えることでこの状況を乗り切っていきましょう。