幸せは、健康と人とのつながりで決まってくるといわれています。
それくらい人生において人と良好な関係を築けるかどうかというのは重要だということです。
では、どうしたら人と良好な関係を気づけるのでしょうか。
良く相手に良い印象を持ってもらうためには、笑顔が大切であるといわれています。
しかし、それ以外にも意外なことで好感度をあげることができるようです。
今回は、誰にでもできる簡単な好感度アップの方法についてまとめてみました。
この記事の目次
ステキな場所に行くーフィーリンググッド効果ー
私たちは心地いいと感じる環境にいっしょにいると相手に好感を抱きやすくなると言われています。
フィーリンググッド効果という名前がついています。
そのままですね…。
心理学者グリフィットが行った調査によると、環境が感情に影響を与えるのだそうです。
初対面の男女グループを2つに分けます。
あるグループは、「自然光の入る明るい部屋」に入ってもらい、別のグループは「ソファや音楽で心地よくなるように工夫した薄暗い部屋」に入ってもらいました。
そのうえで、彼らの様子を数時間観察しました。
大方の予想どおり、後者のグループ内の男女の方が圧倒的にお互いの距離を縮めたそうです。
これは、リラックスできる環境にいることで、一緒に過ごした相手への好感度もアップしたせいではないかと考えられています。
要するに、気分がいい時に誰かと一緒にいると、脳がその気分の良さを相手によるものだと勘違いしてしまい、一緒にいた人の好感度がアップするということです。
逆に、あまりよくない環境にいっしょにいると相手への印象が悪くなるとも言われています。
つまり、大切な相手と一緒に過ごすときは、美味しくて雰囲気のいいお店や景色の素晴らしいところを選ぶようにするといいということです。
なるべく人込みは避けるようにした方がいいでしょう。
気温23度、湿度30%、良い香り、美しい音楽、ロマンティックな照明、素敵なインテリア、寛げる空間というのがお勧めです。
美味しいものを一緒に食べる
そうはいってもそんな環境を突然準備できない…という場合は、いっしょに何か美味しいものを食べるというのが良いかもしれません。
というのも、おいしい食べ物には、心を開き、相手の意見に同意しやすくなるという効果があります。
1965年にアメリカの心理学者Irving L. Janisがエール大学の学生を対象にそれを証明する実験を行っています。
学生たちに「癌は10年後には完治可能だ」という論文を読んでもらいます。
1つのグループは、ピーナッツとコーヒーを用意し、自由に飲み食いしてもらいました。
そして、もう1つのグループには何も提供しませんでした。
すると、何かを口にしながら読んだグループの方が、論文の意見に賛成するケースが圧倒的に多かったそうです。
この食べ物による効果は、仕事や勉強にもあてはまります。
好きなジュースを口にしながら行うようにすると、好きな飲み物によって脳が喜び、仕事や勉強を楽しいものと感じてくれるようです。
もちろん、仕事や勉強が凄く嫌な場合にはあまり効果はないとは思いますが…。
遊園地に行くー吊り橋効果ー
吊り橋効果というのは、吊り橋のようにドキドキする環境におかれると、その時であった人に好意を抱きやすいというものです。
そのため、お化け屋敷やジェットコースターなどドキドキするものがデートの定番になってくるわけです。
最初に報告したのが、カナダの心理学者ダットンとアロン。
1974年に行われたものです。
実験は、18~35歳までの独身男性を集めて行われました。
男性には、それぞれ渓谷にかかる揺れる吊り橋と揺れない橋の2か所を渡ってもらいます。
そして、その橋の中央で同じ若い女性が突然アンケートを求め話しかけます。
その際、「結果などに関心があるなら後日連絡をください」と電話番号を教えます。
すると、揺れる吊り橋の方の男性からはほとんど電話があったのに対して、揺れない橋の男性からの電話はわずか1割だったそうです。
これは、吊り橋を渡るときは揺れるためドキドキします。
それを自分がドキドキしているのは一緒にいる相手のためだと脳が勝手に勘違いし、恋していると錯覚してしまうからではないかとされています。
意外と脳って単純なのです。
簡単にだまされちゃうわけです。
逆に考えると、自分のことを好きだと勘違いさせたければ、ドキドキするといった身体の生理的反応を先にひき起せばよいということになってきます。
そこで、同じような効果が期待されるお化け屋敷や遊園地でのジェットコースターをというわけです。
実は、ジムでのトレーニングやスキーやスノーボードに行った時に相手が格好良く見えるのも、運動で心拍数があがり、斜面を滑るときに怖くてドキドキしているからとも言われています。
ただ、残念なお知らせが一つ。
この吊り橋効果、付き合うきっかけにはなっても中身が伴わないと長続きしないそうです。
障害があるほど好きになるーロミオとジュリエット効果ー
ダメだと言われるとよけい気になるのが人間の心理。
なぜか「してはいけない」と言われるとやってみたくなったり、限定品やレアものほど欲しくなったりします。
これは、恋愛でも同じです。
、「恋人同士の間には何かしら障害がある方が、より恋愛感情が高まる」と言われています。
その名も「ロミオとジュリエット効果」。
そのまんまですね。
1972年に心理学者Richard Driscollが提唱した理論です。
140組のカップルを対象にアンケート調査を行いました。
すると双方の親が2人の関係を反対していると感じているカップルほど、お互いの恋愛の満足度が高かったそうです。
何かを禁止されたり、手に入らないものほどおもしろく魅力的に感じてしまうのでしょう。
ダメと言われるとしたくなる。
ないと言われるとほしくなる。
残念ながらその効果は、手に入れた後長くは続かないようですが…。
一節には、数週間~数カ月だとか。
さりげなく触れる
下心があるとうまくいかない可能性はありますが、うまくやると効果的な方法として、さりげなく触れるというのも効果的です。
男子学生を対象に行ったものです。
男子高校生に図書館で本を返してもらうように頼みます。
その本を返す相手である図書館の受付の女性は、実は、この実験の協力者です。
女性は男子高校生から本を受け取る瞬間に、さりげなく男子高校生の手に触れます。
その後、その男子高校生にインタビューして、図書館の受付の女性がどれくらい魅力的だったかを聞きます。
すると、なんと手を触れられた時の方が、相手の事を魅力的に感じると答える人が多かったそうです。
しかも、さりげなく触れているため、「触られたことに気づかなかった」と答えた人が結構いたそうです。
そして、男子学生に図書館の受付の女性に好感を持った理由を尋ねます。
すると、おもしろいことに「瞳がキレイだったから」とか「笑顔が素敵だったから」とか答えるそうです。
どうも最初に好感を持つという感情があって、その後に適当な理由を探しているのではないかとされています。
でも、ここでポイントなのが、相手が気づかないくらい『さりげなく』ということです。
相手が勝手に好感を持つ理由を探してくれるかもしれません。
頼みごとをする
そして、最も意外かもしれないのがこちら。
頼みごとをするです。
一見逆なような気がしますよね。
しかし、実は相手と仲良くなりたかったら、頼みごとをするとよいということが言われています。
というのも、私たちは人のために何かをしてあげると、その人を好きになる傾向があるのです。
これは、アメリカの心理学者、ジェッカーとランディーによって、実験で証明されています。
被験者は、問題を解いて、正解するごとにお金をもらえ、最終的には、60セントか3ドルのどちらかを獲得します。
そして、被験者が帰ろうとした時、「この実験は、研究資金が底をついていて、ポケットマネーを使っています。
獲得したお金を返してもらえませんか?」とお願いします。
この時、被験者を以下の3つのグループに分けました。
1) 実験の責任者が返金を依頼する
2) 事務員が返金を依頼する
3) 返金を依頼しない
その後、被験者にアンケートで実験の感想を尋ねました。
すると、1)の責任者から返金を依頼されたグループがもっとも責任者に対して好感を抱いていたのです。
さらにおもしろいことに、返金額が多いほど好感を抱きやすかったそうです。
では、どうしてそういう結果になるのでしょうか?
それは、人は『認知的不協和』といって、自分の行動に矛盾があることを嫌う傾向があるそうです。そのため、無意識でその矛盾を解消しようとするのです。
『なんで、わざわざ返金したんだろう?』という自分の中での問いから『嫌いな人を助けるわけがない』となり、『きっとその人のことを好きに違いない』と思うらしいのです。
錯誤帰属(原因を誤って判断してしまうこと)という現象だそうです。
私もそうですが、相手に迷惑だろうと考えて、頼むのが苦手な人…損してます。
必要な時には、自分ひとりで無理をせずに、人に頼むようにしてみたいと思います。
まとめ
好感度を上げる方法についてまとめてみました。
関係性を築く最初のとりかかりとして、試してみてもよいかもしれません。
参考)
Irving L et. al. Facilitaiong effects of “eationg-while-reading” on responsiveness to persuasive communicarions
http://med.stanford.edu/…/Janis_Facilitating_Effects_of_Eat…
Jon Jecker & David Landy. Liking a person as a function of doing him a favour. Human Relations 22(4) 371-378, 1969
http://hum.sagepub.com/
Driscoll, R., Davis, K. E., & Lipetz, M. E. Parental interference and romantic love: The Romeo and Juliet effect. Journal of Personality and Social Psychology, 24(1), 1-10, 1972
http://dx.doi.org/10.1037/h0033373