人は慣れ親しんだ環境に安心感を覚えるようです。

社会心理学者ロバート・ザイアンスによると、人は覚えていなかったとしても過去に見たことがあるものを好むという傾向があるそうです。

これは、人に対しても同様です。
その人に会ったことがあるかどうかで反応が変わってしまいます。

見たことがある人に好感を持ちやすい

実際、見たことがある人かどうかで好感度が変わるのかを調べた実験があります。

被験者にいくつかの顔をほんの一瞬だけ見せます。
そして、その後でたくさんの顔に関して、好ましさを評価してもらいます。
最初に見た顔は、ほんの一瞬だけだったので、どの顔を見たかは覚えていませんでした。
ところが、それにもかかわらず、初めての顔より見たはずの顔の方を好ましいと判断したそうです。

もう少し手の込んだ実験もあります。
詩を読んでもらい、その詩の作者が女性か男性かを被験者、A、Bの3人で話し合ってもらいます。
AとBは実験の協力者です。

被験者にはあらかじめ、Aを含めていくつかの顔を見せておきます。
そして、話し合いでは、AとBの意見が対立するようにして、最終決定を被験者にゆだねます。
そうすると被験者は最初に顔を見せられたAに賛同する傾向にあったそうです。

自分の意見が左右されてしまうくらい顔を合わせるというのは大切なのかもしれません。

よそ者に対して恐れを抱いてしまう

では、どうして慣れ親しんだものを好む傾向があるのでしょうか。

これは、無意識で知らないものに対しては怖れを持ってしまうからかもしれません。

霊長類には、よそ者に対する恐れがあるといわれています。
そのため、集団生活をしているニホンザルの群れに新参者が入ることは、なかなか難しいそうです。

というのも、サルやチンパンジーなどでは、人ほど前頭葉が発達していません。
前頭葉は、複雑な思考や意識的な判断、内省にかかわっているとされています。
そのためなのか、サルやチンパンジーなどでは理性的に行動するのではなく、怖れに支配されて行動し、よそ者に対してひどく冷酷になりうるようです。

それがたとえ、エサをとりに行ったり、外敵から身を守ったりする必要もない動物園という人工的な環境であってさえもです。
結果、すでに出来上がっている社会集団の中に新しい大人のオスを入れることは極端に難しくなります。

生まれながらによそ者に対する恐れを持っている?

よそ者に対する恐れは、生まれてから学習されたところもありますが、おそらく生まれながらにして持っているものではないかと考えられています。

前頭葉が発達している人の場合では、よそ者が入ってきたとしても、理性的にむやみに争うことなく、社会生活を送ることもできますが、おそらく人にも同じようによそ者に対する恐れがあるのではないかといわれています。

特に、相手が怒っている顔をしているときには、その恐れはいっそう強くなるようです。
それがたとえ、自分が相手が怒っている表情をしているとわからないようなサブリミナル画像であっても現れるそうです。

確かに、お互いがすごく仲の良いグループに、後から一人ではいっていくというのは、なんとなく勇気が要りますよね。
私たちが、何回もあっている人や物に好意を抱くようになるのは、もしかすると、この人は安全な人だということをだんだんと学習していくからなのかもしれません。

まとめ

新しい環境は、慣れるまでは、ちょっとストレスに感じることもあるかもしれませんが、自分を成長させるチャンスでもあります。

しかし、環境の変化を望んでいたとしても、変われないとうことは往々にしてあります。

それには誰もが心の奥底で持っている知らない人や新しい環境への恐れが関係しているのかもしれません。
恐れや不安の感情は、自分で気づいていないと知らず知らず膨らんでしまうものです。

新しい環境への一歩が踏み出せないときには、自分の中に不安や恐れがないかみてみるとよいかもしれません。