私たちは往々にして、他人の評価が気になってしまうことがあります。

「こんなことをすると嫌われてしまうのではないだろうか」
「こんなこともできないなんてダメなやつとおもわれるのではないか」
といたように
「ほかの人にいったい自分はどう映っているんだろう」ということを意識しながら行動することはよくあることです。

客観的自己像と理想の自己像

ほかの人が自分をどういう人だと思っているのか、つまり「客観的自己像」は、ほかの人たちや世間の様子をうかがい、自分と他人を比較することで知ることができます。
これは、単に外見などの見た目の印象だけの話ではなく、性格や能力に関しても当てはまります。

多くの人には、『自分はこうありたい』という「理想の自己像」というものがあります。
そして、現在の自分自身や「客観的自己像」をその「理想の自己像」に近づけたいと思っています。

そのために、ダイエットしたり、いろいろと習い事をしたりと自分磨きをするわけです。
「あんまりそういうことはしていないかも」と思うかもしれませんが、ちょっと辛いことがあっても人には笑顔で接したり、外出する時には身だしなみを整えたりすることも同じようなことです。

客観的自己像に関係する脳の部位

この「客観的自己像」に関係するのが、脳の前方にある前頭前野内側(ぜんとうぜんやないそく)と呼ばれる場所ではないかと言われています。
というのも、この場所は、性格を表わす形容詞、例えば、「優しい」「親切な」「怒りっぽい」といった言葉を提示した時、それが自分に当てはまるかどうかを判断するという自己評価課題で活性化します。
つまり、自分がどういう人かということを評価しているときに働いているのです。

さらに、この場所は、他の人から自分の名前を呼ばれたり、見つめられたりしても活性化するということが分かっています。
つまり、他人が自分のことを意識していると感じた時にも活動するということです。

まとめ

他人の目を意識することは、自分を成長させることにつながるいっぽうで、羞恥心や罪悪感といったネガティブな感情を引き起こすことにもなります。

私たちが持っている「理想の自己像」というのは、両親や友人、社会によって「こうあるべき」ということを学習し、作られたものです。
その「理想の自己像」と現実の自分とのギャップが、羞恥心や罪悪感といったネガティブな気持ちを生み出すのです。
そして、「こうあるべき」という思いがあまりに強すぎると、本当に自分のやりたいことがわからなくなったり、やりたいことへの一歩が踏み出せない原因にもなってきてしまいます。

参考
脳の取扱説明書 P85