自分のことを大切に扱うことは重要です。
脳科学者である中野信子さんもその著書『科学がつきとめた「運がいい人」』の中で「運のいい人は自分を大切に扱う」ということをいっています。

私たちは、どうしても自分に対して厳しくなりがちです。
一見、自分に対して甘いように見えていたとしても、心の中では自分のことを責めているということもあるでしょう。

割れ窓理論

「割れ窓理論」って聞いたことがありますか?
これは、アメリカの犯罪学者ジェームズ・ウィルソンとジョージ・ケリングが発案した理論です。

1つの割れた窓を放っておくと、誰もがこの地域に関心を払っていないというサインになり、やがてすべての窓が壊されるという考えからこの名前がついています。

この説は、治安が悪化するまでには、次のような経過をたどるというものです。

建物の1つも窓が割れたのを放置する
→「誰もこの地域に関心を払っていない」というサインになる
→ごみのポイ捨てなどの軽犯罪が起きやすくなる
→住民のモラルが低下して、地域の振興、安全確保に協力しなくなる
→更なる環境悪化につながる
→凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになる

どうも、人にはある特定の秩序の乱れがあると、それに同調してしまうところがあるようです。

つまり、ゴミひとつ落ちていないキレイな道にポイ捨てするのは気がひけるけど、ごみがたくさん落ちている道のわきなら「1個くらいなら捨ててもまぁいいかぁ」という気になってしまうということです。

そこから、治安を回復し、凶悪犯罪が起こるのを防ぐためには、一見無害であったり、軽微な秩序違反行為でも取り締まることが重要であるというのが、この割れ窓理論です。

実際に効果を発揮したニューヨークの地下鉄の治安改善は、この理論をもとに、落書きを消し、軽微な犯罪を徹底的に取り締まるということから始めたそうです。

自分を大切に扱う重要性

割れ窓理論のようなことが、人に対しても起きる可能性があります。

どういうことかというと、自分自身のことを大切にしている人を粗末に扱うのは抵抗があるけれど、自分で自分自身を粗末に扱っている人に対しては、こちらも粗末に扱っていいような気がしてくるということです。

身なりのいい人に対して、思わず敬語を使ってしまったというのはよくある話です。
逆にあまり自分自身のことを構わず、「どうせ私なんか…」と言っている人に対してはどうでしょう。

そして、自分のことよりも他人を優先していろいろ引き受けてくれる人には、何か困ったことがあると悪いなぁと思いながらもついつい頼みごとをしてしまいがちです。
そのことには、もちろん良い面もありますが、度が過ぎて自分のことをないがしろにしているようであれば問題です。
それは、明らかに自分のことを大切していないということです。

人に大切にされていないと感じたら

以前に聞いた対人関係療法の第一人者である水島広子さんがされた「女性のエンパワーメントに必要なこと」という講演で、
「エンパワーメントの本質は癒しです。自分に傷があることを認め、自分に優しくすることが大切です」という話がありました。

なんだか人に大切にされていないと思っているとしたら、
「自分を大切にしているだろうか?」と見直してみるのもいいかもしれません。

意外と自分よりも他人を優先していたり、自分自身を傷つけるようなことをしているかもしれません。

逆に親切にされる立場になって考えてみても、自分自身が満たされている人に余力で親切にされた方が受け取りやすいような気がします。

自分を大切に扱うとは

では、自分自身を大切に扱うとはどういうことなのでしょうか。

それは、自分の気持ちや感情、感覚に耳を傾けるということです。

これは、簡単なようで、人の顔色を見て過ごしている人にとっては案外難しいものです。
そして、それは自己中心的になって相手を振り回すということとも違います。
本当の意味で自分を大切に扱っているのであれば、自分自身が満たされ、同じように相手のことも尊重できるものです。

まとめ

日々の忙しさに追われると、自分の気持ちを無視してしまうということがあるかもしれません。
それは、自分自身のことをないがしろにしているということです。
そのことが、無意識のうちに「自分を雑に扱ってもいい」というサインになってしまいます。
忙しいときこそ、自分の気持ちに意識を向けてる時間を持つことが自分自身を大切にする第一歩なのかもしれません。