私たちが何かをしようと思った時には、すでに脳ではその準備が整っているといわれています。

ドイツのマックス・プラン研究所のヘインズ博士が行った実験です。
0.5秒間隔でランダムにアルファベットが流れるテレビモニターを眺めながら、両手にボタンがついたレバーを握ってもらいます。その上で、好きなときに左右どちらかのボタンを押してもらいます。具体的には「ボタンを押したいなぁ」と思ったときにモニターに表示されたアルファベットを覚えていてもらいます。

そして、fMRIという装置を使って、そのときの脳の働きを調べました。
すると、私たちが「ボタンを押したい」と思う前にすでに私たちの脳はボタンを押す準備をしていることが分かりました。

なんと7秒前、早い場合には10秒前にすでにその運動をするための準備活動がみられたのです。
この「ボタンを押したい」と思う前に真っ先に準備を始めるのが「補足運動野」です。ここで「ボタンを押す」という手や腕の筋肉の動きが準備されます。

意外かもしれませんが、そのような準備が整った後で「押したい」という気持ちが出てくるそうです。
つまり「押したい」という気持ちが出てきたときには脳の中ではすでに「押す準備」ができているのです。

よく「自分ができない事は思いつかない」とか言われますが、実際の運動でも自分がやりたいと思ったことはすでに自分の中で準備が整っていたんですね。

脳の取扱説明書 p95